本当

暗闇の中、真っ直ぐ前に手を伸ばして。
その手の先を、じっと見つめる。
曖昧な輪郭。
希薄な存在感。
『私』という存在が、闇に溶けていく。
ねぇ『私』は本当に存在しているの?
ねぇ『私』は本当に生きているの?
ねぇ・・・世界なんて、幻だとは思わない?
痛みも、つらさも・・・喜びも。
何一つ『本当』なんて、ないんじゃないかって。