12冊目

読み終わってから随分間があきましたが、感想を書きます。

亡国のイージス 下(講談社文庫)

亡国のイージス 下(講談社文庫)

上巻よりも戦闘シーンが多くて、疾走感があって好き。福井氏の作品は、登場人物の背景が濃いので、どうしても流れが滞りがち(と、少なくとも私は感じる)なので、上巻よりも下巻のほうが好き。しかし、この深い背景描写が魅力的で、キャラクタが生きてくるのよね。
映画版より格段に魅力的だったキャラクタは、渥美かな。映画でははしょられすぎて、なんでいるの?という感じでしたが、こんな苦悩があったのか。と。
あと、ジョンヒ。映画で、ジョンヒが如月にキスした意味とかまったく解んなかったけど、なるほど。と思えました。ってゆうか、映画のジョンヒもなんでいるの?レベルだったしな。
あと、魅力的だったのは終章。先任伍長や如月のその後。如月に会うために、半ばストーカーと化す先任伍長(笑)
いや、笑いごとではなく、彼は真剣で。その真剣さにまた、心打たれるものがあるのよね〜。如月が、自由な行動は制限されているにしろ、一皮むけた感じでとてもよかったです。
ローレライの、あの時代に生きる人たち特有の愚直な真っ直ぐさもとても魅力的でしたが、イージスの、現代に生きる矛盾を見つめて、なお自分を生きる人たちも、とても魅力的でした。
宮津艦長も、こんなに切ない人だったなんて。最後に、彼は会いたい人に会えてよかったです。あと、奥さんも凄い魅力的な人だったな。強い女性。脇役も脇役だったけれど、痛烈に印象に残りました。
上巻読み終わった時点で、ローレライのほうが名作だなと思ったんですが、甲乙つけがたし!
評価:★★★★★
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